坂口憲二さんといえば、俳優としての活躍はもちろん、現在ではコーヒー焙煎士としても注目を集めています。しかし、その人生においてもう一つの強い影響を与えているのが、兄・坂口征夫さんの存在です。征夫さんはプロレスラーとして長年にわたってリングに立ち続け、多くのファンを魅了してきました。そしてその背中を見つめてきた弟・憲二さんの想いは、特別なものがあります。
格闘家の兄を持つ弟の誇り
坂口憲二さんの兄・坂口征夫さんは、かつては一般企業に勤めていたサラリーマンでした。しかし、自らの意志でプロレスラーへの転身を果たし、父・坂口征二さんと同じリングに立つ決意をしたのです。そんな兄の生き方を、坂口憲二さんは常に近くで見つめていました。
芸能界という華やかな舞台と、格闘技という過酷な世界。それぞれ異なるフィールドに身を置く二人ですが、共に「表現者」であるという点では共通しています。坂口憲二さんは、兄の勇気ある決断と、真っ直ぐな生き方に深い敬意を抱いているのです。
リングで交差した兄弟の絆
そんな二人の絆が公の場で交差したのが、2013年の「DDT万博~プロレスの進歩と調和~」でした。この大会で坂口憲二さんは兄・征夫さんと兄弟タッグを結成し、プロレスのリングに立ちました。俳優としての立場から、あえてリングに上がるという選択は、兄へのリスペクトがなければ成立しなかったでしょう。
「俺はプロレスラーにはなれなかったけど、この時かましたドロップキックは一生忘れない」と語る坂口さんの言葉からは、リングの上で感じた緊張と興奮、そして兄と肩を並べた誇らしさがにじみ出ています。この一戦は、単なるイベントではなく、坂口兄弟にとってかけがえのない記憶となったのです。
兄の引退に寄せた、静かな感謝とエール
2024年、兄・征夫さんが現役引退を発表。坂口憲二さんは自身のコーヒーブランド「THE RISING SUN COFFEE」のインスタグラムを通じて、兄に向けたメッセージを発信しました。「現役生活お疲れさまでした!」という言葉には、これまでの感謝とねぎらい、そして深い愛情が詰まっています。
また、「良い引き際だと思う」「最後まで怪我なく無事に格闘家人生を終えて下さい」という言葉には、弟として、同じ時代を駆け抜けた仲間としての想いが込められていました。派手な言葉ではなく、実直な文章から伝わるその気持ちは、まさに坂口兄弟らしい、真っすぐな人間関係の象徴です。
家族の支えが育んだそれぞれの道と強さ
坂口憲二さんと坂口征夫さん。彼らの背後には、元プロレスラーで“世界の荒鷲”と称された父・征二さん、そして元女優の母・利子さんという芸能と格闘技に縁深い家族の存在があります。そんな家庭で育った二人は、それぞれの道で努力を重ね、独自の世界を築き上げてきました。
兄・征夫さんの引退は一つの区切りではありますが、二人の絆や家族との繋がりは、これからも変わることはないでしょう。坂口憲二さんが丁寧に淹れる一杯のコーヒーには、きっと兄と過ごした時間、家族の支え、そして「生き方への誇り」が、静かに溶け込んでいるに違いありません。
コメント